モロヘイヤは優れた健康食材でありながら、栽培の難易度はとても低いです。
極端な言い方をすると、栽培で気にするのは温度と水やりだけ。
温度や水やりなど、育て方のコツに触れながら、プランターでモロヘイヤを栽培する方法を紹介します。
モロヘイヤの栽培時期
モロヘイヤは寒さに弱いので、気温がしっかりと高まった時期に栽培を行います。
地域によって異なりますが、だいたい4月下旬~6月中旬に種まきを行い、10月下旬ごろまで収穫を楽しむことができます。
生育の適温は25~30℃。
15℃で生育が鈍くなり、10度以下だと生育を完全に止めてしまいます。
天気予報や気象庁のWEBサイトで、お住いの地域の最低気温が15℃を下回わらない時期をチェックしてから作業を始めましょう。
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モロヘイヤの栽培に必要なモノ
土
市販の栽培用土でOKです。
鉢底石(はちぞこいし)
プランターの底に敷き詰めて、用土の排水性を保ちます。
用土と併せて、種苗店やホームセンターでお求めください。
プランター
65型(横幅約65cm×奥行20~30cm程度)のプランターで、2株の栽培ができます。
やや小さめのプランターでも栽培できないことはありませんが、葉が混み合うと全体に日光が当たらないので、生育が遅れたり害虫が付きやすくなったりします。
深さは30cm以上のものが望ましいでしょう。
ジョーロ
水やりに用います。
モロヘイヤは乾燥に強い植物ですが、夏場の暑い時期に栽培しますので必須アイテムです。
ハサミ
モロヘイヤはやわらかい茎葉を収穫します。
手でポキッと折るように収穫しても結構ですが、ハサミで切り取る方がはかどります。
切り藁(きりわら)
土の上に切り藁を敷くと、土の乾燥を防ぐ効果が期待できます。
猛暑が続く時期は水やりが頻繁になります。
乾燥に強いモロヘイヤですが、過度の乾燥は品質を落としますので、切り藁を入手できるようであればご購入ください。
化成肥料8-8-8
追肥(ついひ=作物の成長に併せて与える肥料)として化成肥料を使用します。
配合割合は8-8-8前後の、水に溶けやすい即効性のタイプが良いでしょう。
元肥(植え付け前にあらかじめ土に仕込んでおく肥料)は培養土に配合されていますので不要です。
※肥料の三要素は窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)です。
肥料のパッケージなどにある3つの数字の表記は、この三要素の含む量と割合をしめしています。
例えば8-8-8の化成肥料の場合、化成肥料100gには、窒素8g-リン酸8g-カリウム8gを含む と読み取ります。
モロヘイヤをプランターで栽培しよう
準備
プランターの底に鉢底石を敷き詰めます。
上からプランターを覗いて底が見えない程度で結構です。
用土の量はほどほどにしましょう。プランターに目いっぱいの土を容れると、水やりのときに水があふれてしまいます。
土の量はプランターの上端から2~3cmの高さまでにしておきましょう。
種まき
種まきから発芽
プランター以外の容器(セルトレイなど)で苗を仕立ててから、成長の良い苗だけを植え付け直す方法もありますが、プランター栽培の場合は、直播きを行い「植え替えなし」で栽培して問題ありません。
モロヘイヤの種の発芽率は、おおむね50%前後ですので、1カ所に数個の種を播いて発芽後に間引きを行います。
25℃がモロヘイヤの発芽適温です。
プランター端から10cm位の位置に、指の第一関節が埋もれる程度の深さの穴を3~4カ所あけます。
一つの穴に一つの種を播き、土を軽くかぶせてあげましょう。
たっぷりの水を与えて、できれば湿らせた新聞紙をプランターの上からかけて、土の湿度と温度を保ってあげるとベターです。
1~2本発芽すると、新聞紙は撤去してください。
発芽までは4~5日です。
発芽しない場合
どうしても発芽しない場合は、次のような方法で再度種まきしてみてください。
- 種まきの24時間前に、種を適当な容器で水に浸してみる。
- 種を播いた土に、ペットボトルの底を切りとばしたものを、逆さまに置き、簡易的なビニールハウスを作ってみる。
間引き
発芽が終わると、間引きして勢いのある芽を選抜します。
最終的にプランターの左右1本ずつ、大きく健康に育った芽が残るように間引きます。
愛らしい芽を引き抜く残酷な作業ですが、発芽した芽をすべてを残してしまうと、全滅してしまいますよ。
水やり
乾燥に強いモロヘイヤなので、水やりは神経質にならなくても結構です。
目安として、表面から深さ2~3cmまでの土が乾燥しきっていたら、底から出るまで水を与えます。
土の中や底土が湿っていれば水やりは翌日に持ちこして大丈夫です。
ただし夏場の猛暑による乾燥のしすぎは、可食部が硬くなる原因です。
昼ごろに表土がパサパサになっていたら、表面だけ湿らせるイメージで水を与えてください。
摘芯(てきしん)
モロヘイヤは放任して栽培すると、高さが2mを越えます。
目いっぱい伸ばしても良いのですが、管理は大変ですし、土の容量が少なすぎる、風で倒れる・折れるなど、プランター栽培の適正な領域を外れています。
そこで摘芯(てきしん)という作業で、高さを制御します。
草丈が50~60cm程度まで成長したら、主茎の先端から10cm位を手で摘み取ります。
こうすることで、主茎から新しく若い枝が、旺盛に張り出してきます。
この新しい枝がモロヘイヤの収穫部分になりますので、時おり草丈を確認して摘芯を行ってください。
肥料を与える
追肥を与えて、成長に勢いをつけてあげます。
苗の状態になって30日後くらいから、2週間おきに、化成肥料8-8-8の一握りを半分ずつ株元にパラパラと撒き与えましょう。
水に溶けやすい即効性の化成肥料だと、土を耕したり、株元に混ぜ合わせた土を寄せたりの作業は必要ありません。
茎がやや赤味がかったり、葉の丸みがなくなってくると肥料切れのサインです。2週間おきのペースを10日間に短縮して様子を伺います。
収穫
「このタイミングじゃないとダメ!」という規定はありません。
枝先の柔らかいもの、摘芯した主茎の先端、摘芯後に伸びる脇芽など、お好きなタイミングで収穫してください。
最低でも1株あたり10~15枚の葉を残しておけば、次々に新しい枝葉を着けます。
逆にボサボサに茂らすと虫が付きやすいので、ドンドン収穫して試しに召し上がってみることで、収穫タイミングは簡単に習得できると思います。
「習うより慣れろ」です。
果実、種子は絶対に食べない
モロヘイヤは日照時間が12時間を切ると、秋が近いことを感じ取り、花を着けて実を結び種子を作ります。
この実(果実)や種子にはストロフェチジンという毒素が含まれています。
12時間を切るというと、秋分の日(9月23日ごろ)になるので、それ以降は注意してください。
現在のところ日本国内で、モロヘイヤの中毒事故は報告されていませんが、かつてはアフリカの狩猟部族が矢毒として用いたと聞きます。
死に至る可能性がある毒素なので、絶対に果実は召し上がらないようにしてください。
特にご家庭や近隣に小さなお子様がいる場合は、9月いっぱい、もしくは花が咲いた時点で栽培を終えるのも一つの手段です。
エジプト王朝の健康を支えてきたともいわれる栄養満点のモロヘイヤですが、悲惨な結果だけは避けるべきですし、興味本位で果実を触るなどの行為も厳に慎んでください。
モロヘイヤの栄養について知りたい方はこちら
⇒ モロヘイヤの栄養・効果や効能は?食べ方や加熱調理に注意!
病気・害虫対策
害虫
葉の茂りすぎが原因でコガネムシ、ハダニ類などが付く場合があります。
殺虫剤の散布が効果的ですので、早めに対処してください。
ただし葉茎を食べるので、極力使いたくないですよね。
茂りすぎないようにドンドン収穫するよう心掛けてください。
病気
モロヘイヤはとても病気に強い植生ですが、ごく稀に「うどん粉病」が生じることがあります。
日当たりの良い場所で、土がやや乾き気味という2つの条件で、うどん粉病は回避できます。
薬剤散布で処理できますが、発症の初期に周辺の葉も一緒に思い切って摘出してしまうとまん延を抑えることができます。
モロヘイヤの連作障害
モロヘイヤは連作障害を生じない作物ですので、毎年同じ土を使っても問題ありません。
ただし相性が悪い作物は数多くあります。
ナス科野菜(ナス、トマト、シシトウ、トウガラシなど)やニンジン・ゴボウと混植(同じ場所で同じ時期に栽培すること)すると、土中のネコブセンチュウ(線状の小さな害虫)を増やしてしまいます。
またモロヘイヤの栽培を終えた跡地で、これらの作物を栽培するのも控えた方が無難です。
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まとめ
モロヘイヤ栽培のポイントは、ズバリ気温です。
十分に気温が高まる時期を待って栽培を始めると、ほとんど失敗はありません。
エジプト文明を支えた野菜を、あなたの家の庭先・ベランダで栽培してみましょう。
なお、くれぐれも果実や種子に含まれる毒素には注意をおこたらないようにしてください。
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