美味しいレモンって自宅で栽培できないのかな?実は鉢植えでも栽培できるのがレモンです。
時間はかかりますが、農薬知らずの「完全無農薬レモン」に挑戦してみませんか。
鉢植えでのレモンの育て方、種から収穫を解説します。
鉢植えでのレモンの育て方
種の植え付け~収穫まで
- 種の植え付け
- 水やり
- 収穫
1.種の植え付け
レモンの発芽率はとても高く、種まきの数日前に種を適当な容器で水に浸けてから播くと80%以上は発芽するでしょう。
レモンの場合、苗木からの栽培が一般的で、種苗店に種の在庫がないかもしれませんが、取り寄せ注文は可能かと思います。
ネットショッピングでの入手も可能ですが、市販のレモンの実から採取してもOK。
果肉を十分取り除いて、種の表面に付着しているヌメリもしっかり拭き取っておきましょう。
この場合は、プックリとして水に浸けて「沈むもの」を選びましょう。
細く、軽く、水に浮くような種はダメですよ。
種まきや苗木の定植は3月が良いでしょう。
2.水やり
決まりはありませんが、3月は気候・気温から最もレモンに元気がある時期と言えます。
発芽までは水やりを毎日欠かさずに。
発芽後は表面の土が乾いた時にたっぷりと、で構いません。特に冬場は、意外に土が水分を保ちますので、過剰なやり過ぎに注意です。
3.収穫
基本的に、よい果実は12月~1月に収穫を迎えます。
実は全て収穫しておかないと、そのあと実が着きにくくなるので、必ず「全ての実」を獲りましょう。
「よいレモン」の収穫には、短くても約5年かかります。
最初の3年目までは1つの果実、3~5年は3つの果実を目標にします。
果実の数は目標を達成しても、まだ樹が大きくなっていないと、味も十分ではありません。
この時期は樹を大きくすることを優先します。
そんなに待てないよ!という方は種苗店で発芽後4年を経過した程度の苗木を購入して、鉢に定植しましょう。
柑橘の栽培は葉を大切にすることが、とても重要です。
常に懸念しておくべきなのは寒さや肥料切れによる落葉と、害虫による落葉です。(春先に落葉するのは新芽を出すのにエネルギーを使うからで、こちらは心配いりません)
寒さや蝶などの害虫からレモンを守り、葉を残してやることが栽培の基本になります。
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鉢の大きさ、土
種から育てる場合は、手の平に乗るような、小さな鉢で構いません。
いくつも発芽させておいて、成長に勢いのある元気なものを選抜すると良いと思います。
定植後の鉢は最低でも直径30cm以上のものを。
それより小さくても、育たないことはありませんが、レモン栽培の鉢に大きすぎるということはありません。
1号あたり直径が3センチと覚えてください。
10号の植木鉢は直径約30cmで8~9リットルの容量があります。
購入時に店員さんと相談する場合は、この号数で話をした方が、話が通りやすいでしょう。
素焼き鉢でも、プラ鉢でもオシャレなものをお好みで選択してください。
そして鉢の底には、鉢底石か鉢底ネットで通水できる構造を作ってください。
あまり流通していないと思いますが、水が抜けない鉢はNGです。
土は園芸用土で十分。
もし可能なら、底部に堆肥を仕込むと良いかと思います。
逆に砂地などは不適です。
気温
15~20度くらいがレモンの生育には適温です。
温暖な冬と、雨の少ない乾燥した夏の気候が、柑橘栽培の最適環境です。
日本国内では、広島県や愛媛県など瀬戸内の気候が良質な柑橘を大量に生産できます。
最適な環境を整えてあげれば、ご家庭の庭やベランダでの栽培も可能です。
冬場は室内(窓際の日当たりが良いところ)や、南側の温かい場所に移動すると、レモンに良い環境を与えることになります。
瞬間的なら-3度程度まで耐えることができますが、基本的には寒さに弱い植物です。
地域にもよりますが、屋外の場合、11月下から12月中旬の夕方以降は、段ボールなどでフタ付の囲いをして、寒さからレモンを守ってあげてください。
品種選び【リスボンレモン】
最もポピュラーな品種で、通常、レモンと言えばリスボンです。
一番栽培しやすい品種ですが、特に寒さに弱いので、降雪地域の屋外では防寒・防雪をお忘れなきよう。
ほかにも、ライムに似た風味のメイヤーレモンや、収量はとても少ないけれど巨大な果実のジャンボレモンなど、多種多様ですが、ご自宅での栽培では、リスボンレモンが最も適しています。
※レモンにはどの品種にも鋭いトゲがありますので、お手入れの時などは厚めの軍手などで保護してから行ってください!
レモンの剪定と摘果について
剪定
剪定とは果実などの成長を促すために、いらない枝を刈って、風通しを良くすることです。
3~4月に年に一度の剪定を行います。
(今回は鉢植えの場合の剪定方法で、地植えは異なります)
- 3年目未満までは剪定せずに、どんどん成長させましょう。
- 3年目は鉢の高さと同じだけの樹が残るように上部を切り落とします。
- 4年目は2~3本の新しい枝の、「先端から3~4枚の葉を除く」ように枝を落とします。
- 5年目も新しい枝を昨年と同じように落とします。
- 樹の中心に向かって伸びる枝は、よくありません。
- 風通しが良くなるように、湿度がこもらないように、を意識しましょう。
摘果(てきか)
レモンは自然落果する植物で、7月中旬ごろまでは生理現象として、実が勝手に落果する場合があります(リスボンレモンの場合)。
例えば、自然落果が終わった8月上旬に、果実が2個残ったとします。
この時、葉の数が30枚以下であれば、どちらか1個を摘み取ります。
この果実を摘む作業を摘果と言います。
逆に60枚近く葉があれば、2個ともつけておいて結構です。
つまり、20~30枚の葉で、1個の実を成熟させる計算です。
また、この時期以外にも花が咲き、実をつけることもありますが、それらも摘み取ります。
11月末くらいから収穫可能で、遅くても2月上旬位をめどに全て収穫します。
レモンの栽培に肥料は必要?
レモンに限らず、柑橘は肥料をよく食べます。
肥料の施し方は、いく種類もありますが、そのなかでも今回は簡単な方法をご紹介します。
肥料は、「3の倍数月」と決めておく方法です。
つまり、3・6・9・12月。
3月は化学肥料を(取り敢えず)軽く一掴み(10号鉢の場合)。
6月は化学肥料を3月の半分。
9月は液肥を土に水やりの代わりに2回と、うち1回は葉にも噴霧。
12月は酸性度の調整として、灰か苦土石灰(くどせっかい)を小さじ1杯程度。
となります。
温かい時期に、葉が黄色く変色したり、落葉する場合は、すぐさま液肥を投入するか、それほどでもない場合は次の3の倍数月にやや多めの肥料を与えてみてください。
環境や品種、個体差などがありますので、適量は栽培する方に掴んでいただくしかありません。
無農薬で、更にオーガニック(有機でもなければ!という方は、有機肥料を使用するしかありませんが、効果はかなり緩やかですので、良いタイミングを逃さないようにしてください。
それほどレモンには肥料が欠かせません。
レモンの栽培で注意すべき病気や害虫
病気と害虫
そうか病
葉に白い斑点が、果実には淡い褐色の斑点が生じます。
斑点のすべてが、そうか病ではありませんが、やがて斑点が突出すると、そうか病と断定できます。
カビ菌の一種ですので、高い湿度で発生しやすくなります。
梅雨時期の湿度は低く抑えて栽培しましょう。
蝶(アゲハチョウ)
黄色い1mm位の卵を見つけたら、すぐに取り除きましょう。
イモムシに孵化すると一瞬で、葉を食べ尽くします。
全期間を室内で栽培するケースではほぼ心配ありません。
カミキリムシ
土の上5~10cmの幹に穴をあけている場合が多いです。
目で見て判断できますので、早めに捕殺します。
カイガラムシ
白色でフワフワした感じの虫。
これにやられると、レモンはじめ柑橘系の樹木はすぐ死にます。
害虫・病気対策と農薬
虫や病気などは、剪定で樹の風通しをよくして、湿気がこもらない環境を整えることが、大切です。
市販のレモンには、ふつう農薬や防腐剤が使用されています。
これらの病害虫にやられると、レモン農家さんご自身が死活問題にさらされますので。
だから細かな規定や基準のもと、薬剤を使用しています。
また外国産の輸入レモンのほとんどには、ポストハーベスト農薬を含め農薬が使用されています。
でも、諦めないでください。
ご自宅での栽培では、日々の管理があれば「完全無農薬レモン」が可能なんです。
レモンと農薬に関する記事はこちら
⇒ 輸入(外国産)レモンの防カビ剤。農薬の除去や洗い方
レモンの実がならない時の対処法
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そのまま栽培を継続
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即効性のある液肥で回復を。
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水やりの量とペースの見直し、修正。
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日々の管理が何より重要です。
発生した時には「手遅れ」の場合も。
花は咲いたが実が付かないのは、上記の他に
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3年目以降は剪定を行いましょう。
そして樹は上よりも、「横方向」に伸ばすことが大切です。
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葉・約15枚に花1つくらいの割合に絞りましょう。
花は5月までのものと決めておき、6月以降のものは摘み取ります。
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通常、レモンは自然受粉しますが、室内栽培では媒介する昆虫が不在で、強い風もありません。
確実性を高めたい場合は、小さな筆で人工授粉をしてやりましょう。
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まとめ
一般的な野菜と比べて長期に渡る栽培で、根気も必要になりますが、気楽にやってみましょう。
収穫できたレモンはひと味も、ふた味も、美味しい筈です。
スラッっと伸びる枝に、深緑の葉、ところどころに結ぶ愛らしい実。
インテリアとしても十分価値のあるレモン栽培を、ぜひお楽しみください。
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