じゃがいもって長期保存ができると言うけれど、常温、冷蔵、冷凍どれがいいの?
ここでは、農家(プロ)がじゃがいもの保存方法とコツについて解説をします。
じゃがいもは冷蔵庫で保管できる?
冷蔵庫で保存できる?
状況にもよりますが、基本的にじゃがいもは常温保存がもっとも向いてます。
湿気と高温が苦手なじゃがいもにとって、夏は過ごしにくい季節です。
また、この時期に香りよくおいしい新じゃがは、水分が多いので日持ちしづらい特徴があります。
そんな夏は、じゃがいもを冷蔵庫で保存するのがおすすめです。
しかし、冷蔵庫での保存は、低温すぎたり、乾燥や光が当たってしまうのが原因でじゃがいもが傷んでしまう心配があります。
それらを避けるためのひと工夫をご紹介します。
まずは場所です。
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冷蔵庫に入れる場所
冷蔵庫のどこに置くかはとても大切なポイントです。
冷蔵庫は、ひとつの空間のなかで役割ごとに温度や空調に違いがあります。
じゃがいもにとっての適温は5〜15度ですが、温度は低めがよいので、野菜室が適しています。
野菜室がない小さな冷蔵庫の場合は、温度が高めで風が直撃しないところを選びましょう。
野菜室にそのまま入れない!
野菜室の場合は乾燥と余計な水分、光からじゃがいもを守る必要があります。
乾燥は、じゃがいもの水分を奪い、しわしわにしてしまうし、保存袋の中に結露などで水がたまるとそこから傷みだします。
野菜室の中にいても、光が当たるとじゃがいもは毒素ソラニンを生成してしまうからです。
野菜室に保存する時は、ひとつずつ新聞紙で包み、袋に入れて下さい。
もしくはじゃがいもが入るビニール袋の内側に新聞紙を敷いてじゃがいもをいれ、軽めに封を閉じます。
袋ではなく、タッパやジップロックなどの容器を使用する際も、水気と光から守ってくれる新聞紙で周りや上を包みます。
新聞紙の代わりに、市販の野菜保存袋でも冷蔵保存ができます。
通気性がよい袋を使用する際は、保存袋ごとビニール袋などに入れることで乾燥を防ぐことができます。
冷蔵庫の中は温度が一定で安心だけど、「乾燥」「湿度」「光」の管理が大切な要素となります。
ひと手間くわえた保存で、夏でもおいしく無駄なく楽しみたいですね。
じゃがいもの常温保存について
常温でも大丈夫?
「じゃがいもは、風通しの良い冷暗所で保存しましょう。長期間の保存が可能です。」というけれど、そのイメージがピンとこない。
先程も述べましたが、基本的には常温保存がじゃがいもの保存にもっとも向いています。
じゃがいもは葉野菜に比べると神経質にならずとも常温で長持ちする野菜です。
じゃがいもが長持ちする理由として、じゃがいもは収穫してから約3ヶ月間は休眠期間をすごします。
じゃがいものほとんどが秋に収穫されるので、冬はあまり心配いりません。
そして、休眠が終わり条件が揃うと芽が出やすくなります。
じゃがいもが芽をだす条件は「光」「湿度」「温度」です。
これらが揃うとじゃがいもが反応してしまうので、少しでも条件が揃わないように工夫することが大切です。
数日で使い切るという場合でも、じゃがいもは日光や蛍光灯など光が当たらないように気をつける必要があります。
光が当たると芽が出やすいだけではなく、光合成が始まってじゃがいもの皮の部分に毒素ソラニンが生成されます。
湿度は90度以上だと腐ってしまうので、できる限り湿度が低く、風通しの良いところが最適です。
じゃがいもは水気に弱いので、水がつくと腐ったりカビやすくなります。
かといって、乾燥状態が続くと水分が飛んでシワシワになってしまいます。
温度は、じゃがいもの保存に好ましいのは5度がベスト。7〜15度がベターです。
気温が上昇するほど、保存できる期間は短くなりやすいです。
土の中にいる状態に近づけることで、じゃがいもは長持ちします。
じゃがいもを光、湿度、温度から守るための方法
ダンボールに入っている場合は、ダンボールに新聞紙を敷いてからじゃがいもを入れます。
そして、光が入らないように新聞紙で蓋をします。もしも、新聞紙が湿ったら取り替えます。
新聞紙で袋を作って保存するのも便利です。
新聞紙は身近にあって、程良い薄さなので通気性がよく、余分な水分を吸い取ってくれる、抗虫作用が期待されるという点で野菜の保存にはお役立ちアイテムなんです。
他には、通気性の良い麻袋や市販されている便利な野菜保存袋の活用がおすすめです。
じゃがいもを常温で長期間の保存する時は、たまに水気がついてないか、芽が出ていないかチェックしてみましょう。
早目の対策をすることでより長持ちしやすくなります。
保存期間はどのくらい?
手に入れたじゃがいもの状態にもよりますが、野菜室での保存は1週間から1ケ月が目安とされています。
長いものでは3ケ月も保存できる場合も。
春に収穫された新じゃがは水分が多いのと、風味が落ちるのを防ぐためにも1週間から2週間以内といわれています。
品種によっても芽が出るまでの期間や休眠期間に差があります。主なものでは芽が出やすい順にインカのめざめ,キタアカリ、男爵、メークインといわれています。
じゃがいもは乾燥してシワシワになってくると急に傷みが早くなってきます。
もしも乾燥してきたら早目に消費し、芽は出るたびに取り除きましょう。
シワシワになってきたじゃがいもは、シャキッとした食感は落ちていますが、舌ざわりがなめらかで甘味がましています。
炒め物より、煮物や煮てつぶすマッシュポテトやサラダに活用するのがおすすめです。
夏でも長期保存が可能であれば、安心して安売りで大量ゲットできちゃいますね。
長期保存していると、忙しい毎日を過ごす内、ついうっかり見逃してた。なんてことにならないように、「じゃがいも、元気かな?芽大丈夫かな?濡れてないかな?」と状態の変化をたまにのぞいてみましょう。
冷蔵庫で変色したら食べられる?
結論からいうと「NO」です。
じゃがいもには食べる時には、ソラニンなど注意したい有毒物質があります。
じゃがいもに光が当たったり、傷がついたりするとその部分に有毒物質がたまって芽や皮の色が緑に変わります。
それが「ソラニン」「チャコニン」です。これらを大量に食べてしまった場合、吐き気やおう吐、下痢、腹痛、頭痛、めまいなどの症状が出ることがあります。
参照:農林水産省【公式】
出荷時から店頭に並ぶまでの保存期間にソラニン、チャコニンが生成する場合もあるので、購入時には、変色していないか?芽は多くないか?をチェックして選びましょう。
ご家庭での保存中にもそれらが皮に発生することがあります。
加熱しても分解しないのですが、取り除けば安心して食べることができます。
変色したところは、その部分と周りの皮を厚めに切り落し、芽がでた部分はしっかりとえぐり取りましょう。
皮に発生することが多いので、広い範囲で変色しているものは皮を全体的にむくと安心です。
もしも、中までほとんどが黒く変色していたり、中身がブヨブヨしていたら食べずに捨てましょう。
せっかくひと手間かけて保存したのに、取り出してガッカリというのを避けるためにもたまに確認するのが安心ですね。
じゃがいもはビタミンC豊富でダイエットにも人気のヘルシーな食材です。
おいしく健康な毎日のためにも、よい状態で保存して、さまざまなレシピで毎日の食卓を豊かにしたいですね。
じゃがいもは冷凍庫で保管できる?
「じゃがいもが冷凍できたらいいのに!」と何度思ったことか。という方も少なくないのでは?
ちょっとひと手間で簡単、便利でおいしいじゃがいもの冷凍保存のコツをご紹介します。
冷凍保存はできる!
農家の知り合いから聞いた話ですが、戦後、寒冷地の人たちは冬にじゃがいもが凍らないように俵にくるんで保存したとか。
かつてより、じゃがいもは冷凍にむかないといわれてきました。
生のじゃがいもやブロックのじゃがいもは冷凍に向いていませんが、ゆでてつぶしてから冷凍する」なら解凍後もおいしく活用できるんです。
基本の冷凍方法は、とても簡単です。
簡単だけど、ちょっとひと工夫のコツをこなせば、失敗知らずです。
冷凍で保存する方法
お好みの方法(茹でる、蒸す、レンジ)でじゃがいもをゆでます。
皮ごと調理した方が身が崩れにくく、ホクホクに仕上がり、栄養が流出しないので効率的です。
でも、時間を短縮したい場合は、皮をむいてお好みの大きさにカットしてゆでるのがおすすめです。
じゃがいもの芯まで火が通ったらザルにあげ余計な水気を飛ばします。
竹串をさしてスーッと奥までさせたら芯まで火が通った合図です。
皮を取る場合は、ここで取ります。
ナイフで薄く切れ目を入れるとむきやすくなります。
熱いので、お気をつけて。
ココがコツです!
熱い内にじゃがいもをボウルなどに移し、マッシャーなどでつぶします。
かたまりが残らないようしっかりつぶします。
熱い内に作業をするとじゃがいもから湯気がたちます。
これが冷凍成功へのコツです。
水分がある程度飛ぶことで、解凍したときにベシャっとならずホクホクの仕上がりになります。
かたまりはおいしく解凍できないので、しっかりつぶします。
つぶしたじゃがいもの粗熱がとれたら、冷ましてから冷凍用に小分けにします。
小分けにしたものを1個ずつサランラップで包み、ジップロックにいれ、アルミトレイなど金属製のトレイにのせて冷凍します。
小分けにするときは平たく薄くしておくと、解凍のとき便利です。
必ず冷めたポテトをサランラップで包みます。
小分けにしたものを湯気が出ている状態で密封すると、サランラップのなかで水滴がたまってしまいます。
そのまま冷凍すると水滴が霜となり、解凍後ベシャっとした仕上がりになります。
冷凍を始めてから早く凍らせることがおいしい仕上がりにつながります。
金属製トレイにのせて冷凍することで、霜が少なく解凍後おいしい食感になりやすいです。
お手元にない場合は、お菓子の空き缶でもOKです。
また小分けにすることで、冷凍のスピードと解凍のしやすやがアップします。
参考文献:「食の冷凍・解凍保存事典」 著:堀江ひろ子
じゃがいもをゆでて、つぶして包むだけですが、冷凍後もおいしく楽しむためには水分との戦いが決め手になります。
冷凍じゃがいもがあれば、解凍後すぐに調理に入れるのでとても便利です。
意外と時間がかかる下ごしらえの「洗って、皮むいて、ゆでて、つぶす」の4ステップを時短できて、洗い物も減らせます。
基本をおさえれば、解凍後の使い道を決めて、味付けしたり調理をすすめた状態でも冷凍可能です。
そのまま焼く、揚げるの状態だとすぐ食べられるので、時間がない時には活躍すること間違いなしですね。
保存期間?
冷凍した食品は乾燥により味や食感が劣化してしまいます。
基本のプレーンのマッシュは冷凍庫で約1ヶ月。
味付けした調理済みのものは冷凍庫で2週間が目安とされています。
食材が乾燥しないように保存袋の口をしっかりと閉じていても、袋のなかに空気があると酸化したり、霜ができやすくなります。
少しでも味や食感を維持するためには、金属製のトレイの上でしっかりと冷凍されたのを確認して、保存袋のなかの空気をしっかり抜くというひと手間が役立ちます。
解凍するとスカスカに?
生のじゃがいもと茹でたブロックのじゃがいもが冷凍に向かないというのは、本当です。
生のじゃがいもは固いので分かりにくいですが、水分が80%を占めています。
凍っている時は大丈夫なのかと思ってしまうくらい見た目は変わりません。
しかし、解凍するとまるで別物になります。
見た目はしぼんで小さくなり、柔らかくブヨンブヨン、色は黒く変色し、皮の裂け目からじゃがいもの水分が漏れでてきます。
割って中身を触ると、スカスカしていました。
茹でたブロックのじゃがいもも、凍っている時は見た目は変わりません。
でも、解凍すると水分がじゃがいもから分離して中身はスカスカになりました。
マッシュして冷凍したものは、スカスカにはなりません。
かたまりをつぶすことで、細胞の組織を壊してから冷凍しているので、じゃがいもの冷凍の課題をクリアしています。
正しい解凍方法は?
解凍は冷蔵庫で自然解凍か、レンジで解凍する方法があります。
ここでの解凍がコツとなります。
冷凍じゃがいもは自然解凍してそのままだと、マッシュしたじゃがいもの中に小さな水分が残っていて、じゃがいもの舌触りが少しざらっとして全体的に水っぽく感じます。
このざらっとした舌触りと水っぽさは温めることで解消されます。
フライパンや鍋で温めるか、レンジでチンして温めることで余計な水分が飛んで、じゃがいもの舌触りもなめらかに戻ります。
レンジでチンするときは、水分を飛ばすのと、爆発を防ぐためにサランラップはふわっと軽くします。
加熱しすぎた場合は乾燥してかたくなってしまうので、初めてのチャレンジのときは温まってきたらこまめに味見をしてチェックするとその変化が分かりやすいと思います。
自然解凍は大きさにもよりますが、朝に使うなら前の晩、晩に使うなら朝に冷蔵庫に移せば解凍されます。
解凍してから空気に触れさせないで冷蔵保存しておけば、保存の目安は3〜4日です。
解凍しても数日の保存が可能なのは焦らなくてよいのでうれしいですね。
ところで話は変わりますが
りんごと一緒に保存すると長持ちする?
リンゴのエチレンガスの影響で、じゃがいもは発芽しにくくなります。
箱や袋の中にりんごを一つい入れるのは効果的といわれています。
土を払う
土付きのだと湿気を高くする場合があるので、土をはらってから保存しましょう。
皮が緑色になってしまったのは、毒素ソラニンが増えたのが原因です。
変色した部分とその周りを厚めに切り落しましょう。
芽が出たら芽が出るたびに早目にえぐり取ります。
芽には毒素があり、芽が伸びるほどじゃがいもの栄養が吸い取られます。
休眠期間は芽が出づらい期間だけど、温度や湿度が高すぎると休眠から早く目覚める場合があります。
じゃがいもは温度と湿度の条件を考えると、夏の暑い時期や梅雨の湿った期間は常温保存には向いていません。
そんなときは、ひと工夫して冷蔵庫を活用しましょう。
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まとめ
じゃがいものさまざまな保存方法、いかがでしたか?
いつでも常備したい人気者のじゃがいもですが、大量に届いて、それが一気に芽がでたりと時折お悩みのもとになることも。
正しい保存をマスターすれば、常温で長期保存が出来て、冷蔵も可能で夏も安心、無駄なく最後まで楽しむことができますね。
まとめ作り冷凍は、おいしさと栄養がそのままに長期保存ができて家事の時短も叶うお助けアイテムに。
みなさんの使い勝手がよいように自在なアレンジを楽しんでいただけたらと思います。
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