にんにく

にんにくの栄養素と効能。チューブの効果は?加熱はNG?

ニンニクの栄養と効果。疲労回復から美肌・ダイエットまで

悪臭とまで呼ばれる「にんにく」の臭いは強烈です。

その臭いのもとは人の健康に欠かせない、硫黄(いおう)原子の化合物。

このページでは、

  • にんにくの栄養にはどんな効果があるの?
  • にんにくを加熱すると効果は変わる?
  • 効果が表れるまでの時間は?
  • にんにくチューブの効果は?

などなど、栄養・効果効能を解説していきます。

にんにくの効果効能

ニンニクの栄養と効果。疲労回復から美肌・ダイエットまで

まず、最初に「にんにく」の5つの効果について解説します。

  1. 疲労回復
  2. 生活習慣病の予防
  3. 風邪予防
  4. 美容効果
  5. ダイエット効果

1.疲労回復

にんにくに含まれるアリインには次の働きがあります。

  • 脳をすっきりさせる。
  • 筋肉への血流を増やす。
  • 気道を広げて呼吸を楽にする。

これらの作用が、疲労回復に貢献してくれます。

肉体的なストレスを感じた時、副腎という臓器が副腎髄質ホルモン(アドレナリン)を分泌します。

アドレナリンの分泌が少ないと、なかなか疲労回復にいたりません。

アリインはアドレナリンの分泌を促して、肉体的なストレスに対抗できる体の状態を作ります。

※ちなみに、京都大学が発見したニンニク成分の「アリチミン」という成分が武田薬品の アリナミンの主成分です。

2.生活習慣病の予防

コレステロール値の改善

にんにくに含まれるアリシンが活性酸素を抑制することで、コレステロール値の改善が図られます。

活性酸素がないと、免疫力が落ちてしまいますが、活性酸素はストレスや紫外線、過労などが原因で、必要な量よりも増えすぎてしまう傾向があります。

そして必要以上の量の活性酸素は悪玉コレステロールの増殖の原因となります。

この悪玉コレステロールが糖尿病などの生活習慣病を引き起こします。

アリシンの摂取で活性酸素を抑制し、悪玉コレステロールの増殖を防ぐことがコレステロール値の改善へとつながります。

動脈硬化の予防

動脈硬化の予防もアリシンの働きによるもの。

前述の通り、アリシンが悪玉コレステロールの増殖を抑えることで、動脈硬化を予防します。

動脈硬化の原因には加齢と老化がありますが、これに悪玉コレステロールが入り込むことで、血管は更に硬く、さらにもろくなってしまいます。

またアリシンは血管の筋肉を適度に弛緩する結果、血圧の低下に貢献します。

この作用により、血管の内部にコレステロールが付きにくくなり、血管の筋肉を健康な状態に維持してくれます。

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3.風邪予防

にんにく特有の強烈なニオイの元、アリシン

にんにくに含まれるアリシンには、抗菌作用も認められます。

アリシンの抗菌作用を、風邪の予防に活用しない手はありません。

元々にんにくはアリインという成分を体の中で生産していますが、虫や菌に攻撃を受けた時、酵素(アリナーゼ)の働きによって、アリインがアリシンに変換されます。
にんにく特有の強烈なニオイの元が、このアリシン。

害虫はアリシンの臭いによって近寄れず、菌はアリシンの持つ強い殺菌作用で死んでしまいます。

アリシンの殺菌作用

アリシンは、にんにく自身の実を傷めるほどの強い殺菌性があります。

しかし実際には揮発しますので、にんにくは自滅することもないという仕組みです。

にんにく畑では、うっすらとにんにく臭がただようことがあります。

これは、にんにくが人の手や防虫剤・抗菌剤を頼らなくても、自らが自らを守っているからとも言えます。

この殺菌作用を見逃してはいけません。

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4.美容効果

女性必見!美肌効果

にんにくがもつアリシンの抗酸化作用が美肌効果につながります。

酸化つまり「サビる」という現象に抵抗する栄養素と言えば、βカロテン(ビタミンA)ですが、アリシンにも抗酸化作用があります。

アンチエイジング効果

アリシンによる活性酸素の抑制にアンチエイジング効果があります。

老化の原因である活性酸素は、ストレス、紫外線、タバコ、化学調味料、排気ガス、過労などを受けて生じます。

にんにくに含まれる、アリシン、S-アリルシステイン、アホエン、ビニルジチインといった成分はコレステロールと活性酸素が反応した「過酸化脂質」という物質を抑制し、ほかのコレステロールも分解・排出する力があります。

活性酸素を生じないようにするか、生じたものを除去するか、過酸化脂質に細胞を錆びさせないことが、アンチエイジングには大切です。

5.ダイエット効果

にんにくによる余計な脂肪の燃焼に、ダイエット効果があります。

アリインが代謝を盛んにし、体温・体熱を上昇させることで、エネルギー(つまり糖質と脂質)をドンドン燃やします。

一方でアリシンが、よい血液循環を生み出して、エネルギーを燃やした時の熱を体中に運びます。

加熱はダメ?効果的な食べ方は?

にんにくは処理の仕方で生まれてくる成分が異なり、食べた時の作用も変わります。

加熱する、しない、切る、すりおろす、で違った成分が産まれてくるのです。

にんにくの加熱で栄養素はどうなる?

カットやすりおろしにんにくを油を使って加熱する場合

薄切り、みじん切りなどのニンニクを、低温で加熱したりオリーブオイルに溶かしたりすると生成されるのが、「スルフィド」という物質です。

にんにくに含まれるアリシンは油に溶けやすく、油と合わさることで、とても安定した(変性しにくい)形であるスルフィドに変化します。

がん細胞の増殖抑制剤として用いられるものに、「ジアリルトリスルフィド(DATS)」がありますが、これは、にんにくのスルフィドから発見された増殖抑制剤です。

「イタリア料理のペペロンチーノを食べた。」「疲れた時は、にんにくを効かしたレバニラ炒めに限る」という方はジアリルトリスルフィドを自然に摂取していたかもしれませんね。

また、にんにくの切断部やすりおろした部分では急速に、揮発性の高いアリシンが生成されます。

時間の経過につれて飛散していくので、アリシンを摂取したいなら、調理寸前のカットが良いでしょう。

カットしないにんにく片を加熱する場合

にんにくをカットせずに加熱することで、アリインがアリシンに変性しない状態で、食べることができます。

例えば、丁寧に皮を取り除いた無傷のにんにくをゆっくり煮たり、軽く火が通る程度に揚げると、アリインをアリシンに変化させる、酵素アリナーゼが熱によって活力を失います。

アリシンの効果より、アリインの効果(血液サラサラ、疲労回復)をお望みの時は、切ったり、おろしたりせず、どうぞそのままのにんにくをゆっくり加熱して召し上がってください。

ホクホクのにんにく、これはこれで美味ですしね。

にんにくのすりおろし

にんにくをすりおろすことで、アリインがアリシンに変化して、揮発する前に胃に届きます。

適量であれば、効率的な摂取の方法となります。

しかし「生で大量」に摂取することを固く禁じてください。

胃潰瘍の原因になります。

もちろん、薬味程度、風味付け程度には問題ありませんが、水分を多めに摂取しておきましょう。

本来のアリシンは、にんにくが我が身を守るための、いわば「超攻撃的な盾」ですので、多量の摂取は慎んでいただくよう、お願いします。

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にんにくチューブの効果は?

市販されている、すりおろしにんにくのチューブには、にんにくの他に、でんぷん、調味料、酸味料、ソルビトール、安定剤などの食品添加物が含まれています。

添加物が含まれたにんにくチューブでも、メインの原材料はすりおろしにんにくなので、含まれている分のにんにく効果はあります。

確かに気になる食品添加物ですが、その効果で、すりおろしにんにくのチューブは非常においしく、食べやすくなっていて、料理の味付けで大活躍しています。

添加物が入っている分、にんにくの効果は減っても、なくなることはないのでご安心を。

にんにくの効果が表れるまでの時間

にんにくの、体質を改善・強化して、元気で強い体質に変えようとする作用が働くまでの時間には、性別による差があります。

女性の場合、約6時間後なのに対し、男性は約12時間後程度から効果が表れるとされます。
効果が約2日間続く点は同じです。

性腺ホルモンをにんにくの成分が刺激するから得られる効果であるため、男性・女性で体内のメカニズムが違うと時間の差も生じてしまいます。

※もちろん個人差があり、6時間・12時間は目安の時間です。

にんにくの栄養成分

文部科学省の食品成分表から、主だったものを抜粋してみます。

水 分 63.9g/100 g
炭水化物 27.5g/100 g
たんぱく質 6.4g/100 g
β-カロテン 2µg/100 g
ビタミンD 0µg/100 g
ビタミンK 0µg/100 g
ビタミンB群 2.49 mg/100 g
ビタミンC 12mg/100 g
カリウム 510mg/100 g

参照元:日本食品標準成分表2015年版(七訂)について:文部科学省

水分・炭水化物・たんぱく質で97.8gと、全体の約98パーセントを占めていますし、ビタミン、ミネラルにも、特に目ざましい量が見られません。

ところが、残りの数パーセントに、硫黄(イオウ)を含む成分(硫黄原子を含む有機化合物)が最大で70%含まれています。仮に、残り数パーセントが2パーセントだったとしても、その7割が硫黄を含む成分(含硫成分)なら、全体の1.4パーセントにも上ります。

優秀な「薬」と呼んでも差しさわりない成分を、1.4パーセントも含んでいる野菜は、他に思い当りません。

そして、その効果・効能が多彩で、際立っていますので、古来から好まれ、また天然の薬品として重宝してきたのがうなずけると思います。

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まとめ

にんにくは利用されている歴史が大変長く、総合的にも安全で健康的な食べ物といっていいでしょう。

特に近年は中国産のニンニクが大量に安く輸入されており、スーパーマーケットを始め外食産業でも欠かせない食材となっています。

にんにくを、正しい調理方法で、正しい量を。

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